高校三年生のとき、短歌をやめようと思った。
短歌を始めたのは高校一年生か二年生か、新聞に載っていた一冊の本、そしてその記事に載っていた東直子さんの短歌に興味を持ったからだった。
- 作者: 小高賢
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2009/10/22
- メディア: 単行本
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しかし、始めたと言っても授業中ルーズリーフにそれっぽいものを書く程度。作ってどうすればいいのかはよくわからなかった。ブログもツイッターもやっていなかったし、発表の場が思い浮かばない。インターネットでいろいろ調べて「結社」はなんとなくわかったけれど、なかなか入ろうとは思えなかった。そして手当たり次第、見つけた賞レースに出していくことにした。
が、当時のわたしの短歌は、「ふわっとした」「それっぽい」ものでしかなくて、賞にはまったく引っ掛からない。自分ではいいと思っているのに、誰にも選ばれない。次第に、わたし短歌向いてない、と思うようになった(実際は本当にただ下手だっただけなんですが)
そして高校卒業を控えた頃、「これで駄目だったら短歌はやめよう」と思い、出した賞がある。与謝野晶子短歌文学賞。今でもよく覚えている。赤いガラケー、ドコモの、Francfrancとのコラボケータイ……。高校の一階、誰もいない教室で、祈るような気持ちで送信ボタンを押した。
窓枠が枠の形をなさずして蝶がなだれてくるかの光(高橋梨穂子)
結果としてこの歌は、第十七回与謝野晶子短歌文学賞青春の短歌高校生の部に入選した。ものすごく嬉しかった。しかも選者が、当時から好きだった永田紅さんだったので、なおさら。
こうしてたかはし氏はやる気を取り戻し、なんだかんだそこそこいろいろ選ばれたり選ばれなかったりしながら楽しく短歌を続けていますという話でした。『ほんのひとさじ vol.9』の特集が「窓」で思い出した昔のお話。