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ゲルニカ

図工室は普段使うことのない教室だった。図工の授業は教室でやるし、なんらかのイベントのときに使うくらいの教室だった。昼休みもそこには誰もいなくて、ただ、確か体育館の隣にあったように記憶していて、だから遊ぶ合間にそっと忍び込んで、かといって何をするでもなく、秘密のおしゃべりなんかをするくらいだったと思う。

絵が飾ってあった。埃をかぶって、色褪せていた。わたしは当時それをモノクロコピーだと思っていた。作品名は知らなかったが、誰の絵かは知っていた。ピカソ。こんなへんてこな絵を描くのはピカソだと、小学生でもわかる絵だ。

わたしがその絵をきちんと知ったのは高校生のときだった。演劇部で『ゲルニカ』という作品をやった。高校演劇の作品集に収録されていて、演劇部員では知っているひとも多いだろう。スペインの戦争の物語。

わたしは「ゲルニカ」を知らなかった。それは地名としてもだし、ピカソの作品としても、だ。だから検索をかけた。そしてピカソの「ゲルニカ」を知った。小学生のとき図工室で見ていた、あのピカソの絵。その絵はモノクロコピーではなく、元から色が抑えられて描かれていたのだった。そして、これは戦争の絵なのだと、はじめて知った。