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楽な道を君は選ばないだろうからなるべく丈夫な傘を手渡す/森下裕隆

楽な道を君は選ばないだろうからなるべく丈夫な傘を手渡す/森下裕隆

http://utanohi.everyday.jp/hito/page.php?id=19&no=14

 第19代目うたの人総選挙、テーマ『楽』で発表された歌。

 

今日思い出して泣きそうになってしまった。

「君」の旅路を主体は否定しない。大変なことはやめなよ、とかは言わない。たぶんそんなことを言っても「君」は聞く耳を持たない。頑固なのだ。

その挑戦を否定せず、かといって寄り添って行くでもなく(自分ではその力にはなれないとわかっているんだと思う)ただ背中を押す。「なるべく丈夫な傘を手渡す」。ここがとてもいいですよね。傘を手渡すのが背中を押す表現になっているところが適度に優しいし、さらにただの傘じゃない。雨が降ろうと槍が降ろうと「君」を守るような、「なるべく丈夫な傘」。一生懸命選んだんだと思う。主体自身が「君」を守ってあげることはできないけれど、それでも「君」を守ってあげたくて。

 「君」と一緒には行けないけれど、どんどん遠くへ行ってしまうのを、主体はずっと見守っていく。見えなくなってしまっても心のどこかで応援を続ける。愛の歌だなあと思います。家族詠と読んでもアイドル詠と読んでも良しだと思う。(〆が雑)