すきによんでねブログ

たかはしりおこのなんてことないブログ

『宝物』(平田俊子/書肆山田)

最近図書館に通っている。図書館はいい。あの新聞もこの新聞も読み放題だし、当たり前だけど本が山のようにある。

平田俊子、という詩人のことが気になっていた。きっかけは『インヘルノ』(マツモトトモ白泉社)という漫画で平田さんの「うさぎ」という詩が引用されていたこと。

検索をかけたら新潟の図書館に平田さんの詩集はほとんどなかったが(小説や詩の作り方の本みたいなのはあった)『宝物』という詩集を見つけることができた。
どきどきしながら棚を探した。あった。「なんて綺麗な本」と思った。
綺麗な色の紙が重ねられた表紙。そこに置かれる「宝物   平田俊子」の文字。金色の文字。ぱらぱらめくると、章ごとに小さな薄い紙で仕切られていて、それが章を進むたびに少しずつ大きくなっていた。(上手く説明ができないのでまじで見てほしい)
装幀は菊地信義さん。存じ上げなかったのだが、かなり有名な人らしい(名久井直子さんしか知らなくて……ごめんなさい)
貸出カードを作って借りた。

ほんっとーにつまらない感想しか言えなくて申し訳なくなるレベルなのだが、すごい本だった。全部全部好き。詩の良し悪しはわからないのだけれど、たくさん衝撃を受けた。
「のど・か」「無縁」「皿」「富士山」というタイトルの詩が特に好きだった。あとは「カメラ」かな。
そのすべてが何気ないように始まって、気付いたら感情の渦のなかにいた。突き付けられる何かがあったり、そこはかとないさみしさがあったり、怒りがあったり、銃声が聞こえたりした。
全編声に出しながら読んだが、そうすると特に「のど・か」が衝撃的で、何回も何回も繰り返し読んだ。心を掴まれてしまう。でも「のど・か」は目で見るからこその言葉遊びも山ほどされているから、もうどう触れてもすごい詩だとしか言いようがない。
あとは「皿」がとても良くて、こちらは衝撃は特にないのだけれど、人に紹介したい詩だと思った。

素晴らしい本に出会ったなあ。現在流通はしているのだろうか。旅暮らしのような人生なので荷物を増やすことに抵抗はあるのだが、これは手元にあっても何回も読むだろうなあ。(ちなみにわたしが平田さんに出会った「うさぎ」が収録されている『ターミナル』という詩集はもうどこにもない……手に入れたい……)

機会があったらぜひ読んでみてください。